"Linchpin"はカタカナ語になるか?
ひんぱんではないものの、何度かビジネス関係の記事で見かけた気になる言葉に"linchpin"があります。
He is the linchpin of our team.
Talent management is a linchpin to growth.
元来の意味は、車輪が車軸からはずれないよう支える「輪止め」です。
そこから転じて、「要(かなめ)」「中核」「中心人物」といった意味で使われているようです。
それがないと、組織やシステムがバラバラに崩壊してしまうもの。中心にあって他の全部を繋ぎ止めているもの。そんなニュアンスが感じられます。しかも、車輪のように激しく動くもの、動的なシステムをバラバラにならないようしっかり支えている、というイメージがあります。なんだかただの「中核」よりさらに一枚重要そうなイメージですね。
英英辞典のCambridge Advanced Learner’s Dictionary(CALD,第二版)では次のように説明しています。
the linchpin of the most important member of a group or part of a system, that holds together the other members or parts or makes it possible for them to operate as intended
「重要」とか「中核」といった言葉は何度も繰り返し使われて重みが失われているだけに、同じ意味を表す手垢の付いてない言葉があると、愛用されることになるのでしょう。Linchpinは曲や組織の名前にも使われているようです。
マーケティング関係でヒット作の多い著者、セス・ゴーディンは、2010年にずばり
Linchpin: Are You Indispencable?
というタイトルの本を出しています。日本語訳ではリンチピンを使わない題名になっていますが、今だったら「リンチピン」というカタカナ語をキーワードにして訳すという方法もありかもしれませんね。
前に触れた「パイプライン」と同じく、この言葉ももしかすると数年後にはカタカナ語として普及しているかもしれません。