主夫と翻訳

翻訳をしていると、日本語にするのが悩ましい言葉にたくさん出会います。検索すると、その言葉の訳語に悩んだ先人たちの声がたくさん見つかり、孤独な翻訳作業が少し楽しくなります。そして、自分もそんな言葉を残したくなりました。

"the case for〜"は「正当化」や「裏付け」「弁護」すること

イデオムとして辞書に出ていないのですが

the case for 〜

という表現はけっこうよく見るし、三単語でセットになってイデオム的な使い方をされています。

 

The case for Peace

 

He made the case for the criminals.

 

 case はひじょ〜に幅広い意味を持つ単語ですが、この場合のcaseは裁判のイメージが強い「事例」「弁護」「言い分」などの意味でしょうね。

 すなわち何かに対し、それを弁護する、その正しさを証明する(モノやコト)、という表現です。

 誰かを守るため(まるで法廷の証言のように)その正しさを堂々と理論的にみなに訴える、というイメージのある言葉なのです。

 

 ところが、これをぴったりと表現する簡潔な日本語がありません・・・

 

例えば以下のような英文は非常に訳しづらい。

 

The middle class has been the case for capitalism.

 

 文意は「中間層が資本主義の良さを証明してきた」ということですが、これでは日本語としてぎこちない・・・。

「中間層は資本主義を正当化してきた」でもあまりすっと読めませんが、このようにまだるっこしい日本語にせざるを得ないのです・・・

 

 いつかこの表現にピシっと対応する日本語を見つけたいと思っています。