主夫と翻訳

翻訳をしていると、日本語にするのが悩ましい言葉にたくさん出会います。検索すると、その言葉の訳語に悩んだ先人たちの声がたくさん見つかり、孤独な翻訳作業が少し楽しくなります。そして、自分もそんな言葉を残したくなりました。

skyrocketingは「うなぎ上り」

 よく見ますね、これ。

 天に向けて真っ直ぐ高速で飛んでいくロケット(花火)のように「急上昇」することです。skyrocketで名詞かつ動詞ですが、skyrocketing ◯◯ と形容詞的に使われることが多いようです。

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 生き生きして派手な表現なので、新聞・雑誌の見出し等でよく使われますが、堅い文章に出てきてもあまり違和感ありません。

 もともとは「ロケット花火」を指すみたいですが、私の手元にある英英辞書3つのうち2つまでは、「急上昇する」という動詞の意味しか書かれていません。

 

skyrocketing housing cost

as the price of gold skyrocketed

 

 この威勢のいい言葉が出てくると、ついつい「赤丸急上昇中の」と訳したくなるのですが、さすがにくだけ過ぎなので一度も使ったことはありません。せいぜい「うなぎ上り」とか「天井知らず」、たいがいは「急上昇」「急騰」と訳しています。

 株価や利益、各種指数など、数値に対して使われることが多いです。

 

 面白いというか、当然というか、正反対に「急落」を表す生々しい表現もあります。「きりもみ下降」のtailspin ですね。やはり経済や企業業績によく使われています。ただ落下するだけでなく「コントロール不能」とか「混乱」というニュアンスがあります。 

 

the economy fell into a tailspin in 2008

 

 たんにrise とか fall とか言うよりも、やはりビジュアルが目に浮かぶ表現だと印象に残りますね