主夫と翻訳

翻訳をしていると、日本語にするのが悩ましい言葉にたくさん出会います。検索すると、その言葉の訳語に悩んだ先人たちの声がたくさん見つかり、孤独な翻訳作業が少し楽しくなります。そして、自分もそんな言葉を残したくなりました。

over timeは、ゆっくり、のんびり、残業しない

 これもよく見る表現に"over time"があります。

 「時の経過と共に」「ゆっくりと時間をかけて」「徐々に」といった意味です。instantly とか immediately の反対のイメージですね。

 ぴたりと対応する日本語がないので、どうしても訳が間延びしがちです。

 

grow steadily over time

change over time

disappear over time

 

 ちょっとしゃれた表現のような気もします。"as time goes by"までいくと詩的すぎるけど、そこまでは気取ってない。

 なんでもかんでも即時即決、ドライに感じられるスピード社会になってきたからこそ、こんな表現がちょっと素敵に感じられるのでしょうか。

 

 over という言葉にぴたりと一致する日本語の概念がないせいか、overが関わるとイメージが掴みにくい言葉が多いように思います。

 

all over the place   そこいらじゅう

overhead  間接費

over and over 何度も繰り返して

sleep over  外泊する

stop over 立ち寄る

 

 ちなみに"over time"のスペースが消えて"overtime"の一語になると、「超過勤務」とか(スポーツの)「延長時間」とか、とたんに散文的な言葉になってしまいます・・・