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主夫と翻訳

翻訳をしていると、日本語にするのが悩ましい言葉にたくさん出会います。検索すると、その言葉の訳語に悩んだ先人たちの声がたくさん見つかり、孤独な翻訳作業が少し楽しくなります。そして、自分もそんな言葉を残したくなりました。

Rolodexは「(すごい)人脈」のアイコン

たまーに見かける表現に

 

use one's Rolodex

 

というのがあります。

 

 ローロデックスは卓上の回転式カードホルダーですが、米国のオフィスでは日常的なもののようです。セロハンテープなどと同じで特定企業の商品名ですがポピュラーすぎて一般名詞化しています。

 機能は日本でいう「名刺ホルダー」ですね。ここに仕事上の知人の名前、肩書き、電話番号などをメモして、アルファベット順とかで整理するわけです。

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 さて、冒頭の表現ですが、これはローロデックスをくるくる回して人を探す、すなわち

自分の個人的ネットワークを駆使する

という意味です。訳すとすれば「人脈を活用する」でしょうか。

 

 このデジタル時代ですから、おそらくローロデックスを使う人は減りつつあるでしょう。「デジタル・ローロデックス」なんてサービスもあるみたいです。20年後くらいには死語になっている可能性もあります。

 しかし今のところこの表現は「大物と太いパイプを持つ人物がその個人的ネットワークをフル活用する」といういささか漫画的で生々しい表現として使われています。

 活用できるローロデックスがあるという意味で、corner officeは、偉い人の象徴 - 主夫と翻訳と同じく「偉い人の象徴」という含みもあるでしょう。多少まわりくどいが優雅で気取った表現、という感じもします。こういう表現をする書き手は、ローロデックスをuseやwieldする動作主に対して「大物なんですよ」という敬意を抱いているニュアンスがあります。

 

ちなみに

fat (thick) Rolodex

といえば「人脈が広い」ということです。