主夫と翻訳

翻訳をしていると、日本語にするのが悩ましい言葉にたくさん出会います。検索すると、その言葉の訳語に悩んだ先人たちの声がたくさん見つかり、孤独な翻訳作業が少し楽しくなります。そして、自分もそんな言葉を残したくなりました。

coworkerとcolleague

 ビジネス関係の英文でけっこうよく出てくるけど、その度にひっかかる言葉が”colleague”。

 これを「同僚」と訳すと違和感がある、というケースが多い。どう考えても書き手より立場が上の人や、書き手と別組織で働いている人を"colleague"と呼んでいる。

 

 ネットでいろいろ調べてわかったことをまとめると、

1)"colleague"は、「一緒に仕事をする仲間」というニュアンスが強く、立場の上下や職場が一緒かどうかはあまり関係ない。

2)とりわけプロフェッショナルな仕事(組織より個人の能力で食べているイメージのある仕事)について使う傾向が強い。

3)「同じ職場」を強調する場合は、"co(-)worker"という言葉がある。ただし、個人的にはあまりこの言葉を目にしません。なので当てにならない印象ですが、"colleague"は心理的に近い、暖かみのある言葉なのに対し、"coworker"は少し冷たいというか、身近でない人を指す感じがするかな・・・

4)この二つの言葉は、ネイティブでも使い方に迷うことがけっこうある曖昧な言葉らしい。

 

 面白いなと思うのは(1)の部分で、やはり組織や仕事のあり方が英語圏と日本で違う部分を反映しているのでしょうか。しかし日本も終身雇用や大企業を良しとする意識が変わりつつあり、10年後くらいには"colleague"とピタリと対応する日本語が生まれているかもしれませんね。

 

 ちなみに英英辞典のCollins Cobuildでは"colleague"は次のように書かれています。

Your colleagues are the people you work with, especially in a professional job.